Fulltone Octafuzz

私が愛用するエフェクターFulltone(フルトーン)社製Octafuzz(オクタファズ)について、専門用語が多いですが音楽を始めたばかりの人も読んで頂きたいです。

まずエフェクター”effector”とは…
大きな意味においては英語の”effect”「効果」に”or”がついて「効果を与えるもの」という意味ですが、特に現代音楽業界では、「音に何らかの効果を与える機械」を指していることが多いようです。

一言にエフェクターと言っても全世界にかなりの種類があり、レコーディングスタジオで用いられるエフェクター、ライブステージで用いられるエフェクター、他ヴォーカル専用やエレキベース専用など様々なエフェクターが存在します。

“Octafuzz”(以後オクタファズと表記)は、
・エレキギター用
・フットペダルタイプの形状(使用者であるギタリストが立って使用することが多いことから、エフェクトのon/offを足で踏むことにより切り替わるスイッチがついている)

シンプルな回路が生み出す繊細さとは裏腹に、足で踏んでもビクともしない堅牢性も兼ね備えています。

ところで音楽・楽器業界では、エフェクターに限らず古き良き「名機」というのは人気が高く、所有すること自体がステータスと言われています。
また出音にオリジナリティーがあり、現存数が少ないモデルや製造中止のモデル、同じモデルでも評価の高い製造時期のモデルは高値で取引されています。

ところがエフェクターのように、古いものでは1960年以前に製造されたモデルを、新品当時と同じようにツアーやレコーディングに使い続けるには、いろいろと問題が出ることが多くなります。博物館入り級のモデルは盗難の可能性も否定できません。

そのジレンマを解決すべく、アメリカで急成長を遂げたのが、エフェクターメーカーのフルトーンです。

フルトーンはアメリカ西海岸のマイク・フラーというビンテージ楽器のコレクター・研究家がごく身近のミュージシャンのためにハンドメイドでエフェクターを製作していたことが始まりのようです。

最初は自身のヴィンテージエフェクターコレクションをもとに、それらのレプリカを作り始め、徐々に信頼を得ていったと思われます。その特徴は、ミュージシャンからの要望を取り入れつつ、出音のクオリティーの維持、使いやすさ、耐久性・メンテナンス性の高さ、を高次元で組み合わせたものと言えるでしょうか。

私が購入した当時の取扱説明書にはフルトーンユーザーが列挙されており、バンドではザ・ローリングストーンズ、ザ・ブラッククロウズ、オアシス、プライマス、個人ではルー・リード、レニー・クラビッツ、カーク・ハメット(メタリカ)、タイ・テイバー(キングスX)など、音にうるさい人がずらり。
世界中のプロフェッショナルに使われ、又信頼されているのが分かります。

そのフルトーンで最初に作られたモデルがこのオクタファズです。

このオクタファズはタイコブレア社の”Octavia”をもとに作られました。
注釈:オリジナルは電子エンジニア、ロジャー・メイヤー (Roger Mayer)により創作された。インプットシグナルの音程を1オクターブ上げて原音とミックスし、ディストーションをかけアウトプットシグナルを生成するエフェクト。
その使用者として有名なジミヘンドリクスがツアー中に故障した本器を修理に持ち込んだ際、コピーされ、製品化されたものが、タイコブレア社の”Octavia”という説があります。

マイク・フラーが最初にこのモデルを選んだ理由は、当時すでに”Octavia”が「名機」として認識され入手困難となり、価格も高騰していたこともあるでしょうが、マイク・フラー自身やマイク・フラーの身近なギタリスト達が”Octavia”が持つ唯一無二のサウンドをシンプルに好きだったのでは?と私は考えています。

それは今も根強いジミ・ヘンドリクス(以後ジミヘンと表記)の人気が大きく影響してると思われます。

2011年ローリングストーン誌のギタリスト人気投票では、死後40年以上経てジミヘンが人気一位を獲得したことがそれを証明しています。

彼が名声を得るきっかけとなったシングル”Purple Haze”のギターソロではこの”Octavia”が効果的に使用されており、その後のアルバムやライブステージで好んで使用されています。

後のギタリストではスティヴィー・レイ・ヴォーンや後に紹介しますジョン・フルシアンテ等、ジミヘンに影響を受けたギタリストたちによりあらゆる場面で使用されていきます。

音の特徴は、ギターの音を強力に増幅させ、特に高音の倍音を強烈に強調することにより、アナログシンセをフィルターで発振させたようなフリーキーなサウンドになり、一般的な歪み系とは全く違うサウンドです。

特に前述の「特に高音の倍音を強烈に強調する」サウンドは単音で弾く際には圧倒的な存在感を与えてくれ、やみつきになることなること請け合いです。

しかし、複数弦で弾くとギターの音に無限の倍音を追加してしまう為、何を弾いているかわからなくなってしまうという諸刃の剣的側面もあります。

実際、私のオクタファズをアメリカ出張のついでに買ってきてくれた方は「先に試し弾きさせてもらったんだけど、良さがサッパリわからなかった」との感想でした。

ともかく実際の音をお聞きください。

近代3大ギタリストに数えられるジョン・フルシアンテ(元レッドホットチリペッパーズ)のダークでハイテンションなソロが2:28頃から始まります。

特にソロのエンディングは、ジョンがクォーターチョーキングをしながらフィードバックさせ、スタジオ内で快感に打ち震えている様子が目に見えるようです。
因みにこのギターサウンドは、”octavia”以外の使用機材の、恐らくマーシャル1959、ファズフェイス系の歪み、途中からはワウペダル、の効果も大きく影響していますので、ご自身で再現するとしても”octavia”やオクタファズだけではこの音になりませんのでご承知ください。

僭越ながら私の音もお聞きください。

本器の操作法は、
・音量”volume”
・歪み”boost”
2コントロールです。

どのツマミ位置でもOKですが、
コードを中心に弾く場合、”boost”を上げ過ぎると何を弾いているかわからなくなるので注意しましょう。
私がこのペダルを踏むときは、
音にパンチを与えたい時です。加えて3音までのコードも弾きたいので、”boost”を抑えつつ、”volume”を突き気味に設定し、後段のアンプもしくはエフェクターをブーストしています。
ちなみに外部電源入力は通常の9Vですが、センターが”プラス”で通常と逆です。

背面の字が上下逆、演奏者が立ったまま覗き込んだ際に読み易く書かれているのがおしゃれエフェクターの後ろの写真

関連リンク:

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🎤 講師紹介ページ:まえけんビーバーの音楽遍歴

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