Gibson SG Standard

この度は私が愛用するエレキギター
Gibson(ギブソン)社
SG(エスジー)について

まず最初にGibson(ギブソン)社とは…

「1894年創業、アメリカ・テネシー州ナッシュビルに本拠を置く楽器メーカー。主にアコースティック・ギター、エレクトリック・ギターを製造している。」(wikiより)
とあります。
アコースティック・ギターにおいては、Martin社(マーチン)と人気を二分、エレクトリック・ギターにおいては、Fender社(フェンダー)と人気を二分しており、誰もが憧れる高級ギターメーカーです。

現在は多様な楽器メーカーを子会社に持つ総合楽器メーカーでもあります。

SG(エスジー)とは、

「1961年のニューモデルとして発表したエレクトリックギター。
名称の「SG」はSolid Guitar、ソリッド・ギターの意。」(wikiより)とあります。

私の愛機は、1992年製のギブソンSGスタンダードです。
当時は
「’61 Reissueモデル」
「SGスタンダード」
「SGスペシャル」の
3機種が発売されており、真ん中のグレードでした。

ギブソンカスタムショップからは「SG CUSTOM」(3PU、ゴールドパーツ、New Gibson Vibratoが装備)も発売されていましたが、非常に高価であったと記憶しています。福山雅治さんが使用されているのはこのモデルでは、、、?

この「SGスタンダード」、当時は新品で20万円弱であったかと思われますが、たまたま勤務していた楽器店に中古ギターとして入荷したのを一目ぼれして購入しました。
ほぼ試奏もせず、音が出るか確認をしただけで買ってしまったと思います。

音の特徴は、マホガニーらしい歯切れの良さがバッキングに向いており、ブルース、ファンク、ロック何でも来い。まろやかなトーンはJAZZやスライドギターにも使いやすい音です。

しかし、私個人の意見ですがGibson社のエレキギターの中では、ピックアップのタイプを問わず、レスポール系モデルが最もいい音が出ると思っています。
レスポールユーザーといえば、ジミー・ペイジ、スラッシュ、ゲイリー・ムーア、奥田民生、一時期のジェフ・ベック、一時期のカルロス・サンタナと高中正義(使用ギターはYamahaのSGですが、メイプルトップ、マホガニーバックのレスポール系という観点で挙げました)とギターが中心、もしくはギターが大きな役割を務めている曲が多いミュージシャンが並びます。メイプルトップ、マホガニーバックのボディーが生み出す、高音の張りと抜け、それを支える低音のバランス、サステインと鳴りのバランス、ストラップにかけた際の重量バランス、弾きやすさなど、どれをとってもレスポールが勝っていると思っています。

そういえば、1961年のSG発売時にギターヘッドに「LesPaulModel」のプリントをしたいという、ギブソンからのオファーをレス・ポール本人が拒否したという話があり、SGの音はレス・ポール本人の好みに合わなかったということなのでしょう。

しかしながら、バンド内でのアンサンブルという観点で見ますと、SGにも分があるのでは?と考えていますが、それは前出の「歯切れの良さ」に秘密があります。
私たちが耳にしますあらゆる音楽の中でギターは使用されていますが、その曲の演奏時間の8割以上は歌のバッキングです。そこで前出のレスポールをジャーンとやっちゃいますと、低音も高音も前に出てき過ぎてしまいます。音作りで調整はできますが、「歯切れの良さ」は機材で作れるものではありません。

このSGのデメリットにも思える「歯切れの良さ(裏返せばサステインの無さ)」「出過ぎない高音と低音(裏返せば中域の強めな音)」は歌やリード楽器のバッキングには最適ということも出来ます。
それを踏まえてSGユーザーを列挙しますと、
ピート・タウンゼント、アンガス・ヤング、トニー・アイオミ、一時期のカルロス・サンタナ(’69 Wood Stockのソウル・サクリファイスは最高ですよね)、デレク・トラックス、ポール・ウェラー、ジ・エッジ、トム・ヨーク、中山加奈子等々、、
何か共通項を感じませんか?ただ私好みのミュージシャンが多いだけでしょうか?

ところで、私のSGはヘッド裏の製造番号93142383から察するに(参照ページ)1992年製造のギターです。クルーソンペグ(ちょっと何かにあてただけでひん曲がってしまう華奢なペグですが、その華奢さでマホガニーネックへの直接的な衝撃を和らげているともいえるそうです。)、エスカッション無しでピックアップはピックガードに直に取り付けタイプです。ブリッジのコマはストリングセイバー製に変更。極端に弦切れが減りました。

ピックアップは古くからの友人のA氏に頂いた、ギブソンヒストリックコレクションレスポールの純正ピックアップのバーストバッカータイプ2とタイプ1のペアに積みかえています。
その音はビンテージでナチュラルなギブソンサウンド。タイプ2の方は少々ホットですが、特定の音域を押し出すことなく、そのギターが持つ木の鳴りを引き出してくれます。ビンテージ感を尊重するため、ロウ漬けしていないので、強烈に歪ませたり、極大のアンプで鳴らすとハウリングしやすいのは難点です。後にロウ漬け処理しましたら、ハウリングは皆無となりました。

第一回のエッセイのジミヘンストラトと同様、製造から20年以上の時間を経ることで、極太ネックを含めたボディー全体の鳴りが良くなってきて、買ったばかりの頃よりも音が良くなっています。

しかしこのSGは、悲しいことに一回ネック折れを経験しています。

当時、私は楽器店勤務でした。ネック折れで楽器店に持ち込まれるギターの9割はマホガニーネックでしたので、マホガニーネックの折れやすさは誰よりも理解していました。スタジオ練習でもイスやアンプに立てかけたりはせず、移動には極力ハード・ケースを用いていたのですが、それでも意外なハプニングでネック折れしてしまうことになりました。

2004~2005年頃、友人で私達貧乏なミュージシャンの支援者でもあられたYさんが、再建築前の神戸チキンジョージであるライブを主催されました。
トリにはXJapanのPataさん率いるRa:IN(ライン)が出演されるという大きなライブの末席に出させていただいたと記憶しています。

いざ出演となった際、私はSGをストラップで肩に掛けた状態で、楽屋からステージに向かう廊下を歩いていました。
SGをストラップで肩に掛けた状態で、右前のズボンのポケットからピックを取り出しながら歩くと、必然的にSGのボディーを左へ押し出すような形になり、廊下の手すりへギターのヘッドを差し込む形になってしまいました。

その状態で私はステージへ急いで歩いています。

ネックの一部分に、てこの要領で私の体重が掛かり、「メキッ」という音がしました。反射的に手すりからSGのネックを引き抜いたのですが、時すでに遅し、完全に折れてはいないものの、弦はべローンとテンションが無くなり。木目に沿って裂けたネックからは、濃い茶色のマホガニーがむき出しになっています。
演奏が終わってからならまだしも演奏前に、、
「やってもた」の一言です。

ステージはもう私のバンドを待っています。猛ダッシュで楽屋に戻り、ネックの折れたSGを掲げ「折れてもた、誰かギター貸してくれぇ」と声を上げると、たまたまPATAさん率いるRa:IN(ライン)のメンバーの方や関係者の方もおられ、何とも言えぬ顔をされておられました。もちろんPATAさんからお借りする考えなど毛頭無かったのですが、その時の気まずい空気は今思い出しても背中がムズかゆくなります。

その時、「これ使ってください」とK君が彼の愛機のSGを差し出してくれました。K君はYさんの店のバーテンダーでバンドマン。少し私の方が年上でしたが、Yさんと私が飲んだくれていても、いつもいやな顔せずにこやかであったことが印象的でした。
もうドラムはイントロのフレーズをたたき始めています。K君には簡単に礼を言って、廊下を小走りでステージ向かいます。かなり慎重に、、
ステージでは、K君の性格同様のK君のSGは初対面の私に意地悪もせずその素直な音を披露してくれました。
ステージを降りて、K君のところへ向かうと、少々私の汗が掛かったSGをいつも通りにこやかに受け取るK君がいました。

翌日楽器店に持っていき、弦楽器の木工系修理のスペシャリストのEさんに預け、2週間後帰ってきました。

さすがEさん、少々傷は残りましたが、ぴっかぴかになっています。

しかし治ったばかりの頃は、一度折れてしまったSGを見ては、折れる前の音は2度と出ないのかと落ち込んでいました。

それから随分時間が経ちましたが、現在も機嫌よく鳴ってくれています。今となっては戒めも含めて折れてしまったこともよい思い出になっています。
折れていなかったらという仮定は無意味ですが、実際の音を聞いていると、比較してわかるほどの違いはないと思います。歯切れが良くてまろやかな音でしょう?

中古市場に出れば折れた痕跡があるギターなんて価値がないかもしれませんが、元はといえば自分の不注意が原因です。また一流のリペアマンに依頼してすぐに直してもらってもいます。私以外にこのギターの価値が理解できる人はいないと思うと、ずっとそばに置いておきたいなあと思います。

その後、ネック折れの現場となったチキンジョージでは、元町栄町(乙仲通り)の老舗バーのオーナーSさんに率いられ、大西ゆかりさんやクレイジーケンバンドの横山剣さんと共演させて頂く機会も得ましたが、その時もこのSGが素晴らしい音を出してくれました。

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