Gibson SG Standardとはどんなギター?
「Gibson SG Standard(エスジー・スタンダード)」は、
歯切れの良いバッキングサウンドと、中域が前に出るロックなキャラクターで
長年愛されてきたソリッドボディのエレキギターです。
・バンドの中で邪魔をしないのに、しっかり存在感がある
・ブルース、ファンク、ロックはもちろん、ジャズやスライドにも使える
・見た目はハードでも、歌モノのバッキングで本領発揮
この記事では、1992年製SG Standardを30年以上使い続けている
ギタリスト(まえけんビーバー)が、実際のプレイ経験をもとに
SGの魅力・弱点・レスポールとの違いまで、解説します。
Gibson(ギブソン)というブランド
Gibson(ギブソン)は1894年創業、アメリカ・テネシー州ナッシュビルに本拠を置く
世界的な楽器メーカーです。
・アコースティックギターではMartin(マーチン)と人気を二分
・エレクトリックギターではFender(フェンダー)と人気を二分
誰もが一度は憧れる高級ギターブランドであり、
現在では多様なブランドを傘下に持つ総合楽器メーカーでもあります。
SGとはどんなギターか?基本情報と歴史
そもそも「SG」とは何か。
・1961年のニューモデルとして発表されたエレクトリックギター
・名前の由来は「Solid Guitar(ソリッド・ギター)」
薄いマホガニーボディとダブルカッタウェイのボディ形状、
軽量で取り回しが良く、独特の「キレのあるサウンド」が特徴です。
私の愛機は1992年製のGibson SG Standard。
当時ラインナップされていたのは、
・’61 Reissue
・SG Standard
・SG Special
の3機種で、Standardはちょうど真ん中のグレードにあたります。
当時、新品は20万円弱。
勤めていた楽器店に中古で入荷してきた1本を、
ほぼ試奏もせず「一目惚れ」で購入したのを覚えています。
Gibson SG Standardとレスポールの違い
音のキャラクター
SGのサウンドを一言でいうと、
・マホガニーらしい歯切れの良さ
・中域が前に出る、歌の邪魔をしないトーン
ブルース、ファンク、ロック系のカッティングには抜群で、
まろやかなトーンに振れば、ジャズやスライドギターにも十分対応できます。
一方で、個人的な意見としては
「Gibson社のエレキ全体で見れば、総合力はレスポールが一枚上」と感じています。
レスポールユーザーといえば、
ジミー・ペイジ、スラッシュ、ゲイリー・ムーア、奥田民生、
一時期のジェフ・ベック、カルロス・サンタナ、高中正義など…。
メイプルトップ+マホガニーバックのボディ構造が生み出す
・高音の張りと抜け
・それを支える低音の厚み
・豊かなサステイン
これらは、リードギターとしての説得力でいえば、
やはりレスポールの方が有利だと感じます。
ちなみに、SG発売当初はヘッドに「Les Paul Model」とプリントする案もあったそうですが、
レス・ポール本人が音を気に入らず、使用許諾を拒否したという逸話もあります。
それだけSGは、レスポールとは別キャラのギターだと言えます。
アンサンブルの中での役割
一方で、バンドアンサンブルという視点で見ると、SGの評価は一気に上がります。
私たちが耳にする多くの曲の中で、
ギターがやっている仕事の8割以上は「歌のバッキング」です。
ここでレスポールを“ジャーン”と鳴らすと、
・低音も高音も主張が強く、歌を食いかねない
・音作りを慎重にしないと、全体がギターに覆われてしまう
対してSGは、
・歯切れの良いアタック
・出過ぎない高音&低音(中域が気持ちよく前に出る)
=ボーカルやリード楽器の“下で支える”役割を、自然にこなしてくれます。
この「出しゃばらないけど、いないと寂しい」ポジションが、
SGの真骨頂だと思っています。
こんな人にGibson SG Standardはおすすめ
・歌モノバンドのバッキングを気持ちよく支えたい人
・ロック、ブルース、ファンク系のカッティングが好きな人
・レスポールの音は好きだけど「重さ」に悩んでいる人
・中域が前に出る、抜けるリズムギターが欲しい人
逆に、
・超ロングサステインのリードを多用する
・分厚いハイゲイン・リードがメイン
という方は、レスポールや別タイプのギターの方がハマる可能性もあります。
私のSG Standardの仕様・カスタマイズ
私のSGは、ヘッド裏のシリアル「93142383」から1992年製と判断できます。
主な仕様は以下の通りです。
・クルーソンタイプのペグ
→ 華奢ですが、その分ネックへの衝撃を和らげるという説も。
・ピックアップはピックガード直付けタイプ(エスカッション無し)
・ブリッジサドルはString Saver製に交換
→ 弦切れが激減しました。
ピックアップは、友人A氏から譲り受けた
Gibson Historic Collection Les Paul純正のBurstbucker Type 2(フロント)とType 1(リア)に載せ替えています。
音の印象は、
・ビンテージ寄りでナチュラルなGibsonサウンド
・特定の帯域だけが飛び出さず、“木の鳴り”を引き出してくれる
ロウ漬け無しの状態では、強烈に歪ませたり爆音のアンプではハウリングしやすかったため、
後にロウ漬け処理を施し、現在は実用上問題なく使えています。
経年変化と「鳴り」の変化
製造から20年以上が経過した現在、
極太ネックを含むボディ全体の鳴りは明らかに良くなっています。
・購入直後より音が太く、立体的になった
・生鳴りの段階で、すでに“よく歌う”
Gibson SGは、経年変化による“育ち”も楽しめるギターだと実感しています。
マホガニーネックの弱点:ネック折れの実話
SGの大きな弱点のひとつが「マホガニーネックの脆さ」です。
楽器店勤務時代、ネック折れで持ち込まれるギターの9割がマホガニーネックでした。
その危険性は十分わかっていたので、
・イスやアンプに立てかけない
・移動時は極力ハードケースを使用
と気を付けていたのですが、それでもある日“事件”が起こります。
――2000年代半ば、再建前の神戸チキンジョージ。
友人Yさん主催のライブで、トリはX JAPANのPATAさん率いるRa:IN。
私はSGをストラップで肩に掛けたまま、
右前ポケットからピックを取り出しながらステージへ向かっていました。
その姿勢のまま歩くと、SGのボディを左へ押し出すことになり、
廊下の手すりにヘッドを「てこのように」引っ掛ける形に…。
そこへ私の体重が乗り、
「メキッ」
という嫌な音。
弦はベローンとテンションが抜け、
ネックの木目に沿ってパックリ割れたマホガニーがむき出しになっていました。
演奏“前”に、です。
ステージに立たせてくれた、やさしいK君のSG
時間は待ってくれません。
ステージではもうドラムがイントロを叩き始めています。
楽屋に戻った私は、折れたSGを掲げて
「折れてもた!誰かギター貸してくれぇ!」
と叫びました。
その時、「これ使ってください」と差し出してくれたのが、
バーテンダーでありバンドマンのK君のSG。
その性格そのままに、K君のSGは初対面の私にも素直な音で応えてくれ、
何とかステージを乗り切ることができました。
プロのリペアマンによる修理と、その後の鳴り
後日、楽器店で弦楽器木工系のスペシャリスト・Eさんに修理を依頼。
2週間後、SGはぴかぴかになって戻ってきました。
・見た目には少し傷跡が残る
・しかし音の違いは、比較してもほとんどわからない
“折れる前の音はもう戻らないのでは…”と落ち込んだ時期もありましたが、
時間が経った今、SGは以前と変わらず、むしろ機嫌よく鳴ってくれています。
中古市場でネック折れの痕跡があるギターは、
たしかに評価が落ちてしまうかもしれません。
それでも、
・折ったのは自分の不注意
・一流のリペアマンに修理してもらった
・長年弾き続けてきた相棒
そう考えると「このギターの価値がわかるのは自分だけ」だと思えるようになり、
今も大切な一本としてそばに置いています。
今も現役、SG Standardの存在感
ネック折れの現場となったチキンジョージでは、その後もご縁が続きました。
元町栄町(乙仲通り)の老舗バーのオーナーSさんに率いられ、
・大西ゆかりさん
・クレイジーケンバンドの横山剣さん
との共演機会をいただいた際にも、このSGは最高の鳴りで応えてくれました。
SG Standardは、見た目のロックさ以上に、
・歌とアンサンブルを支える“縁の下の力持ち”
・長年付き合うことでどんどん良くなる“相棒系ギター”
だと、今も感じています。
SGのサウンドを、あなたの手で体感してみませんか?
SGの特徴的なサウンドは、文章だけではなかなか伝わりません。
・歯切れの良いカッティングの気持ちよさ
・中域が前に出るけれど、歌の邪魔をしない音
・経年で育ったマホガニーボディの鳴り
これらは、実際に弾いて・アンプから出てくる音を聴いてこそ、実感できます。
神戸近郊の方で、
「SGやレスポール系のサウンドを、自分の手で試してみたい」
「バンドで映えるバッキングの作り方を知りたい」
という方は、ギター教室の無料体験レッスンもご利用いただけます。
・初心者歓迎
・ギター貸出あり
・“弾きやすさ”重視のセットアップもその場でアドバイス
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Gibson SG好きに刺さるアーティストたち
最後に、SGユーザーとして名を連ねるギタリストを挙げてみます。
・ピート・タウンゼント
・アンガス・ヤング
・トニー・アイオミ
・一時期のカルロス・サンタナ(’69 Woodstockの「Soul Sacrifice」は名演)
・デレク・トラックス
・ポール・ウェラー
・ジ・エッジ
・トム・ヨーク
・中山加奈子 など
私の趣味も相当入っていますが(笑)、
共通しているのは
・歌のバッキングやリフで“グッとくる”ギター
・ロックなのに音楽全体を壊さないバランス感
そんなスタイルのギタリストが多いように感じます。


